映画ファンをハラハラさせ画面にひきつけるには、ミステリーとアドベンチャーは欠かせない題材と言えよう。前者は安い製作費でもシナリオにひねりを加え、思わぬ展開で観客を満足させることができるため、第二次大戦前後からアガサ・クリスティをはじめとするミステリー作家の小説が盛んに映画化されるようになった。ヒッチコックがこの分野で傑出してるのは異論のないところだろうか。後者については、映画ならではの視覚に訴える効果が期待できることから普遍的な人気を得ているが、まずそのおもしろさで人々を魅了したのは連続活劇だろう。1914年から16年が最盛期で、10編から20編ほどの短編が順次上映されて、危機一髪の場面になると”続きは次週のお楽しみ”となるのである。中でもパール・ホワイト主演のシリーズが有名で、「ポーリンの危難」「鉄の爪」等が製作された。これらは新聞小説と同時進行し、今でいうタイアップ宣伝のはしりとなった。最近はスペクタクル、大量破壊!に偏向し、ダグラス・フェアバンクス、エロール・フリン等に代表される従来の活劇が少なくなっているのは残念だ。 |